私の著書「親子で防ぐ認知症」の中で、危険因子の一つ「運動不足」の箇所に、長時間座っている人で運動不足の人は、高い死亡率に繋がったという研究*1に触れています。座ってばかりいる行為の一番に挙げられるのは、テレビの視聴だと思います。テレビを見るというのは、受け身であり、認知面に良く無いだろうというのは想像出来ますね。実は、長い時間テレビを見るという行為は、運動する、しないに拘らず、認知症になるリスク上昇に繋がったという研究報告*2があります。逆に、コンピューターを使うという行為は、認知症になるリスクの低下に繋がったということです。コンピューターを使うという行為は、座っていても、認知面に刺激を与える活動と考えられます。同じ座っている状態なら、テレビを見るのは止めて、コンピューターを使う活動に切り替えた方が良いという事ですね。この研究には、パンデミック中のデータは使われていないということなので、コロナ禍で外出もままならず、テレビを必要以上に見てきた私たちは、一体どうなるんだろうと、一抹の不安を覚えます。ドラマ全話をイッキ見したというのは、多くの皆さんが経験済みの事ではないかと思います。過ぎてしまった時間を取り戻す事はできませんが、コロナ禍から抜け出し始めた今、これから先の私たちの行動を変える事は、自分たち次第です。勇気を持って!?過剰なテレビやストリーミングと距離を置く時かもしれません。「Netflixさん、Huluさん、今までありがとう。でも、ちょっと考える時間を下さい!」なんて、パートナーに別れを切り出すような寂しさを感じますが、健やかに歳を重ねるためには、必要なことだと思わざるを得ません。
*1 Ekelund U, Tarp J, Fagerland MW, et al. Joint associations of accelerometer-measured physical activity and sedentary time with all-cause mortality: a harmonised meta-analysis in more than 44 000 middle-aged and older individuals. Br J Sports Med 2020;54:1499–1507
*2 Raichlen D A, Klimentidis Y C, Sayre M K, et al. Leisure-time sedentary behaviors are differentially associated with all-cause dementia regardless of engagement in physical activity. PNAS 2022; 119 (35). https://doi.org/10.1073/pnas.2206931119
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